エナメルのお手入れ方法

美しい光沢が魅力の「エナメル(パテント)レザー」は、革の表面にウレタン樹脂などで強い光沢のあるコーティングを施した素材です。一般的な革よりも水や汚れに強いと思われがちですが、湿度変化による「ひび割れ」や、湿気による「ベタつき=加水分解」、他の素材からの「色移り」が起こりやすいというデリケートな一面を持っています。
本記事では、エナメル特有のツヤを保ち、トラブルを防ぐためのケア手順と保管時の注意点をステップごとに解説します。

エナメルレザーの手入れはコーティングされたエナメル膜の手入れ

エナメルレザーのお手入れの、他の革のお手入れと大きく異なる点は、土台となっている革そのものではなくコーティングされたエナメル膜の手入れである、という点です。

また、ガラスレザーなどを除く一般的な革は、軽い傷や擦れであれば、クリームなど油分を染み込ませて磨けば修復することができますが、エナメルレザーは傷やひび割れができてしまうとお手入れで修復することはほぼ不可能となってしまいます。エナメル膜を劣化・ひび割れさせる要因を取り除くことがお手入れと保管のポイントとなります。

ステップ1:柔らかいクロスやブラシで表面を清潔に保つ

エナメル表面に付着した細かいホコリや砂は、そのままにしておくと擦れて細かい傷を作る原因となります。また、ホコリや手垢に含まれるタンパクや皮脂はエナメル膜を構成するウレタン樹脂の分解を早める恐れがあります。エナメルレザー製品を使った後や、お手入れの最初には、柔らかい「馬毛ブラシ」や起毛のある「ポリッシングクロス」で表面の目に見える汚れを取り除きましょう。

ステップ2:エナメル専用のクリーナーで汚れをしっかり落とす、スジ汚れも忘れずに

クロスやブラシで落としきれない汚れは、エナメルの汚れ・くもりを取る専用のフォームクリーナー「ラックムース」で落とします。ポリッシングクロスにゴルフボール大のラックムースを取り、優しく擦って汚れを落としましょう。

エナメル靴などに付きやすい、スジ状の汚れは、フォームクリーナーでは落ちにくいので、ハードな消しゴムタイプのクリーナー「ソフトガミ」でスジ汚れだけを狙って擦り落とします。

エナメルレザーの汚れで注意が必要なのが「ベタつき」です。エナメル膜のベタつきは、表面に汚れが付いただけの場合と、エナメル膜そのものが分解してしまった状態の2通りがあります。前者の場合はクリーナーで落とすことができますが、後者の分解してしまったエナメル膜は残念ながら元に戻すことができないため、予防が大切です。

ステップ3:防水スプレーで湿気・水分からガードし、加水分解を防ぐ

エナメル膜を構成するポリウレタン樹脂は、水を弾きますが湿気や水分による分解「加水分解」を起こしてしまう性質を持ちます。エナメル膜が加水分解すると、膜が溶けたようにベタつき最終的には崩れてしまい元に戻すことができません。そのため、「ウォーターストップ」などの防水スプレーで湿気や水分から守ることが大切です。

防水スプレーは、吹き付けるとエナメルがツヤを失いマットになりますが、乾拭きによりツヤが戻りますので、スプレー後は乾拭きを必ず行いましょう。

ステップ4:エナメル専用の保護ローションでエナメル膜を守り、光沢を取り戻す

エナメル膜は乾燥などにより徐々に柔軟性を失い、ひび割れの原因の一つとなります。これを防ぐため、エナメル専用の保護ローション「ラックポリッシュ」を塗りエナメル膜をケアしましょう。よく振ってから、容器先端のスポンジをエナメル製品に押し当ててローションを全体に薄くムラなく塗り伸ばします。その後、完全に乾く前に「ポリッシングクロス」で優しく乾拭きしてツヤを出し磨き上げます。

よくあるトラブルからエナメルレザーを守る、保管時の注意点

エナメルレザー製品を長く美しく保つためには、保管方法が重要です。特に多いトラブル「ベタつき」「ひび割れ」「色移り」の原因とともに保管時の注意点を解説します。

ベタつき

エナメル膜を構成するウレタン樹脂の加水分解や汚れ・薬品等の付着による分解によって起こります。保管時は湿気を避け、なるべく風通しの良い場所に保管し、定期的に取り出して外気に当てる、汚れをこまめに落とす、防虫剤は直接エナメルレザーに接しない場所に置くことがポイントです。

ひび割れ

ひび割れの原因は、エナメルレザーの土台になっている革が周囲の湿度変化により膨張と収縮を繰り返すことと、経年によるエナメル膜の硬化です。硬化し柔軟性の落ちたエナメル膜は、幾度もの革の伸縮に耐え切れずひび割れてしまいます。保管時はできるだけ湿度を一定に保つことと、エナメル膜の定期的な保護ローションによるお手入れが大切です。

色移り

保管時に新聞紙など印刷された紙に包むと、インクがエナメルレザー製品に写ってしまうことがあります。また、エナメル膜の加水分解が起こることで、分解しベタついたエナメル膜に紙が貼り付いて剥がれなくなってしまうことがあります。保管時は、紙には包まず通気のための穴を開けた箱に入れる程度にとどめましょう。やむを得ず紙に包む場合は、印刷のある紙は避け、無地の紙をお使いください。

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